旧帝大就活研究会
編纂手記

「Webテスト解答集」無料プレゼント企画とSNS詐欺の手口 ── LINE登録に誘導される構造を整理する

「Webテスト解答集」あるいは「ウェブテスト解答集」を検索する27卒・28卒の就活生の一部は、SNS上で「フォロー&RTで解答集プレゼント」「LINE登録で今だけ無料配布」といった企画を目にすることがある。無料プレゼント企画そのものは珍しいものではないが、SNSでの無料プレゼント告知からLINE公式アカウントへの登録を促し、その先で高額な情報商材を販売するという手口が、LINE公式のセキュリティガイドで明確に注意喚起されている。本研究会では、就活生にとっても無関係とは言えないこの構造を、確認できる事実の範囲で整理しておく。

目次

  1. SNSで見かける「解答集無料プレゼント」企画の実態
  2. LINE公式が警告する情報商材詐欺の型
  3. X・TikTok・Instagramで確認されている手口
  4. 就活生を狙った類似の勧誘事例
  5. 構造の類似点と、本研究会が断定しないこと
  6. 自衛のための確認手順
  7. よくある質問

SNSで見かける「解答集無料プレゼント」企画の実態

X上では「Webテスト解答集」「ウェブテスト解答集」の名目で、フォロー&リツイートを条件に解答集を無料配布する企画が一定数観測される。27卒・28卒の就活シーズンに合わせて周期的に増加する傾向があり、有償版についてはダイレクトメッセージ経由でPayPay等による決済(2,000円から3,000円程度)で頒布されるケースも確認されている。ただし、これらの頒布物は内容の精度や収録形式が配布元によって大きく異なり、告知内容と実際に届く内容が一致しないケースがあることも、就活生の間では指摘されている。

こうした無料頒布物に潜む解答集の危険性は、内容面だけの問題にとどまらない。本研究会が注目しているのは、頒布の入り口そのもの、つまり「SNSでの無料プレゼント告知」という形式が、以下に整理する詐欺の手口と表面上酷似している点である。

LINE公式が警告する情報商材詐欺の型

LINE公式アカウントのセキュリティガイド(guide.line.me)は、「SNSを悪用した情報商材詐欺」に対する注意喚起を明確に行っている。同ガイドが示す手口は、おおむね次の型に整理される。

一、SNS上で高額なギフト券や現金のプレゼント企画を告知し、注目を集める。 二、プレゼントの受け取り手続きと称して、LINE公式アカウントへの登録を促す。 三、登録した相手に対し、平均10万円から30万円程度の情報商材を売りつける。

同ガイドは、LINE公式アカウントを装った不正なアカウントの存在についても明記しており、正規の企業・団体を騙る例が確認されている。この手口はSNS上の「無料プレゼント」という体裁を入り口に使う点で、就活生が目にする解答集の無料プレゼント企画と形式が共通している。

X・TikTok・Instagramで確認されている手口

同種の手口は、プラットフォームごとに異なる装いで報告されている。

Xは、前述の高額プレゼント企画型の主戦場として以前から報告されてきた媒体である。

TikTokでは、「副業」「TikTokショップで稼ぐ」といった副業訴求を切り口に、LINE登録へ誘導する情報商材詐欺が近年目立つとされている。

Instagramでは、著名人になりすました広告からLINE友だち追加を促す事例が報告されている。

就活生を狙ったSNS上の詐欺的な勧誘は、プラットフォームを問わず、最終的にLINE登録という一点へ収束する傾向がある点で共通している。

就活生を狙った類似の勧誘事例

就活生自身が対象となった類似の勧誘は、消費生活相談の実例としても報告されている。SNSで見かけた就活塾の広告から無料のWeb面談を受けたところ、「セミナーを受講すれば大手企業に100%内定する」という触れ込みで、約50万円のセミナーを勧誘されたという相談事例である。

この事例は「Webテスト解答集」を直接の対象としたものではないが、就職活動という不安の大きい時期を狙い、SNS上の無料の入り口から高額な商材・サービスの勧誘に至るという型において、LINE公式が警告する情報商材詐欺の構造と共通している。

なお、Webテスト対策そのものに関わる実際の事件としては、2022年11月、大阪府の男性が就職活動中の女性に対しWebテストの替え玉受検(不正な代行解答)を行ったとして逮捕・書類送検された事例がある。これは無料プレゼント企画とは別種の手口であるが、Webテスト解答集に隣接する領域において、実際に刑事事件化した例が存在する事実として付記しておく。

構造の類似点と、本研究会が断定しないこと

ここまで整理してきた事実を踏まえ、本研究会の立場を明確にしておきたい。

「Webテスト解答集の無料プレゼント企画」が、具体的に「LINE登録を経由した情報商材詐欺」の手口として実際に使われた、という名指しの実例・報道を、本研究会は確認できていない。したがって、両者が同一の手口であると断定することはできない。

本研究会が指摘できるのは、あくまで構造上の類似点にとどまる。すなわち、①SNS上での無料プレゼント企画の告知、②LINE公式アカウントへの登録誘導、③登録後の高額商材販売という、LINE公式や各SNSプラットフォームで確認されている詐欺の型と、④SNS上で実際に観測される「解答集の無料プレゼント企画」という実態が、入り口の形式において酷似しているという点である。この酷似は警戒に値すると本研究会は考えるが、それ以上の断定は行わない。

自衛のための確認手順

構造上の類似が確認できる以上、就活生が自衛のために取れる確認手順を整理しておく。

第一に、案内されたアカウントが本当にLINE公式アカウントであるかを確認する。公式アカウントには緑色のバッジが付与されており、LINEアプリ内の公式検索や、運営元の公式サイトに記載されたリンクと突き合わせることで確認できる。

第二に、プレゼントの受け取り手続きと称して、氏名・学校名・電話番号などの個人情報を先に求められた場合は、一度立ち止まる。正規の企画であれば、個人情報の取得目的が明示されているはずである。

第三に、「今だけ」「先着100名」といった期限・限定を強調しながら、個別のLINEチャットへの移行を急かす流れには警戒する。高額商材の勧誘は、比較検討の時間を与えないまま個別のやり取りに持ち込む点に特徴がある。

第四に、少しでも不審に感じた場合は、消費者ホットライン188(いやや!)に相談する。契約前の相談であっても対応してもらえる窓口である。

なお、有償の解答集そのものを比較検討する際の一般的な目安としては、特定商取引法に基づく表記のページが用意されているか、決済手段が個人間のDM送金ではなく信頼できる決済代行(Stripe等)を経由しているか、改訂日や更新頻度が明記されているか、といった点が挙げられる。これらが揃っているからといって内容の質そのものを保証するものではないが、少なくとも運営の実態が見えない相手とのやり取りに比べれば、後から連絡が取れなくなるリスクは把握しやすくなる。この観点については、本研究会の別手記ウェブテスト解答集の選び方にも整理があるため、あわせて参照されたい。

よくある質問

Q. 「Webテスト解答集」のSNS無料プレゼント企画は、すべて詐欺なのか

すべてがそうであるとは言えない。無料プレゼント企画そのものは、フォロワー増加を目的とした一般的な施策としても広く行われている。ただし、プレゼントの受け取りを条件に個人情報を求められたり、LINE登録後に高額な商材を勧誘されたりした場合は、前述の情報商材詐欺の型に該当する可能性を疑うべきである。

Q. LINE公式アカウントかどうかを確認する方法は

アカウント名の横に付与される緑色の公式バッジの有無を確認する方法がある。バッジがない、または運営元の公式サイトに記載のリンクと一致しない場合は、なりすましの不正なアカウントである可能性を疑うべきである。

Q. 個人情報の入力を求められた場合はどうすればよいか

その場で入力せず、一度立ち止まることを勧める。取得目的が明示されていない、あるいは不自然に多くの情報(住所・口座情報等)を求められる場合は、応じずに消費者ホットライン188へ相談されたい。

Q. 有償の解答集を選ぶ際に、詐欺と紛らわしい業者を避けるにはどうすればよいか

特定商取引法に基づく表記の有無、決済手段が信頼できる決済代行を経由しているか、改訂履歴が明記されているかを確認することを一つの目安として挙げられる。加えて、SNS経由の無料プレゼント企画からLINE個別チャットへ誘導され、そこで初めて高額な支払いを求められるような流れには、本記事で整理した詐欺の型との構造的な類似があるため、特に慎重な判断を勧める。

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